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わかったつもりでいたけれどほんとうはわからなかったこと。

読書。独学ヨガ。ミニマリズム。わからないことだらけ。

自らの意志で捨てたもの 誰かの手によって失われたもの 「ねじまき鳥クロニクル 第二部 予言する鳥編」村上春樹著

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 鉄は熱いうちに打ちましょう、ということでひきつづき「ねじまき鳥クロニクル」の第二部です(この文庫本もぼろぼろ…)

 

第1部はこちら⇩

「すでに起こってしまったこと」「これから起ころうとしていること」ねじまき鳥クロニクル 第一部 泥棒かささぎ編ー村上春樹著 - わかったつもりでいたけれどほんとうはわからなかったこと。

 

 僕の周りでも村上春樹の小説が苦手な人って少なくないんですが、ちょっとでも興味をもってもらえれば嬉しいと思って書いてます。

 ちなみに僕が村上春樹を読んだきっかけは、レディオヘッドトム・ヨークが雑誌か何かのインタビューで、「今回のアルバムは、人に憑りつき、人を邪悪なものに変えてしまう目には見えないダークな力をテーマにしている。ハルキ・ムラカミの『ねじまき鳥クロニクル』も同じような存在について書かれているよね」(のようなこと)を言っているのを読んで、トム・ヨークが読んだのか・・・読んでみよ」というあまりに単純なものです(ちなみに村上春樹の「海辺のカフカ」には、主人公のカフカ君がレディオヘッド「キッドA」を聞くシーンがあります)

 

 この第二部では、まさにそのダークな存在の力により、主人公が何よりも大事にしていたものを失ってしまいます。なんとかそれを取り戻そうと試行錯誤するんですが、事態はどんどんややこしくなって主人公は心身ともにメッタメタに打ちのめされるわけです、、、

   この第二部で僕が面白いなと思うのは、主人公が、攻撃してくる邪悪にたいして、反撃して排除しようとはせず、かと言って知らんふりして逃げるわけでもなく、「その邪悪さは一体どこからやってきたのか?」「その邪悪さを発動させるきっかけは一体なんだったのか?」という根っこの疑問を解くために時間を費やして深く考えるからです。

 

「あなたが今言ったようなことは誰にもできないんじゃないかな。『さあこれから新しい世界を作ろう』とか『さあこれから新しい自分を作ろう』とかいうようなことはね。私はそう思うな。自分ではうまくやれた、別の自分になれたと思っていても、そのうわべの下にはもとのあなたがちゃんといるし、何かあればそれが『こんにちは』って顔を出すのよ。

 

 現状が辛かったりすると、人間どうしても条件反射的に「もう嫌だ。リセットする!」と爆弾を落としてしまいがちです。でも、「逃げ道を確保しつつ、ちょっとだけ勇気を出して、直面している問題の深淵を覗いてみる」ことも大事だなあとあらためて思うのです。逃げるにしても、自分を苦しめているものの正体を暴いてからでも遅くはない。そうしたほうが結果的に次のステップを踏みやすかったりします。ただし、我慢して打たれ続けなきゃいけなかったりもするので、退き際を逃すとやばいです。諸刃の剣ですね。

 

 「でもね、ねじまき鳥さん、私はもっと先まで行くつもりだった。ぎりぎりのところまで。あなたがぐらぐらして、怖くて怖くてしかたない、これ以上は我慢できないくらいになるまで。その方が私にとっても、あなたにとっても、いいことだと思ったの」

  今、「待つ」とか「粘る」って、流行らないというか、なんとなく「ダサい」イメージが付いてしまっているように思う。

「都会から田舎へ」「テレビ、新聞からネットへ」「社畜からフリーへ」・・・いわゆる「オワコン」とレッテルを貼られたものから脱却して、未知のフロンティアを目指す身軽さや自由さが賞賛されやすいというか。

 もちろんオワコンとされるコンテンツには、そう言われるだけの致命的な欠点があると思うし、新たな価値観を追求することも忘れないでいたいんだけど、そのブラックな部分を自分の目で見て判断したかどうか?という「実体験」が抜けてるような気がするのです。「自分が捨てようとしているものは一体どんなもので、ほんとに捨てて大丈夫かな?」と、一息ついて考えるのもいいかもしれません。そうしたうえで、本当に要らないとジャッジしたのならば長居は無用です。潔く手放しましょう。

・・・ということをミニマリストって言葉を知って、断捨離バーサクモードになり、短期間でものを捨てまくった僕が言います。説得力があるんだかないんだか…。

 

だからきっとあなたは今、そのことで仕返しされているのよ。いろんなものから。たとえばあなたが捨てちゃおうとした世界から、たとえばあなたが捨てちゃおうと思ったあなた自身から。私の言ってることわかる?

 ・・・怖いですねえ。この感覚は忘れないでいたいものです。

なんだか前回と同じようなことを書いてる気が…気のせいかな。

 

  今回のタイトルは、「るろうに剣心」で同じようなセリフを思い出したので参考にしました。ジャンプ黄金世代なので、漫画の名セリフ集みたいなのも、そのうちやりたいと思っています。

 

次は第3部、完結編です。よろしければどうぞ⇩

この世の暴力性にたいして僕らはどう振る舞っていくべきか 「ねじまき鳥クロニクル 第3部 鳥刺し男編」村上春樹著 - わかったつもりでいたけれどほんとうはわからなかったこと。