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わかったつもりでいたけれどほんとうはわからなかったこと。

読書。独学ヨガ。ミニマリズム。わからないことだらけ。

中国におけるアンゴラウサギの採毛について思うこと。

 朝、なんとなくテレビを見ていたら、TBS「いっぷく」で、

 
アンゴラウサギの毛を衣料用に使うのは動物虐待に当たるため、動物愛護の観点から、ZARAH&Mといった有名ファストファッションブランドが続々とアンゴラ毛使用商品の販売停止に踏み切っている。
 
という特集を報道していました。
 
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右の、一見モップの先みたいな、白いモフモフのやつがアンゴラウサギ。
 
 アンゴラウサギの衣料用毛の生産量の世界シェアは90パーセントが中国が占めています。
 しかし、中国の数カ所の農場で行われている「毛をむしり取る苦痛の大きい採毛方法&劣悪な飼育環境」が問題になり、ある動物愛護団体がその生産工程の動画をYouTubeに投稿した反響により、多くのファストファッションアンゴラ商品の販売停止に踏み切った、、、ということらしいです。
 2年ほど前にも一度問題になり、GAP系の「バナナパブリック」や「オールドネイビー」といったブランドもアンゴラの使用を停止したようです。
 
 番組内では、その問題になった動画も使われていて、
 
 四肢を縛られたうさぎの毛を、バリカンなどの道具を使わずに手でばりばりむしりとる、すさまじく痛々しいものでした(YouTubeで見れると思いますが、個人的にはあまり見るのはおすすめしません。そういう痛みを、「動画」という直接的な方法で入力しなければ実感できないほど、人間の想像力はヤワではないし、「自分の日常では目に入らなくても、遠いどこかですでに発生しているであろう痛み」をいかに自分のことのように感じられるかに、人間の想像力の可能性があると僕は思うからです。 なによりも、こういう「見てください。これが現実です」的なメッセージというのは、見る人々を必要以上に感情的にさせるし、ヒステリックにもさせます。もちろんこういう強烈なメッセージにより、ゴリ押しで変えられる現状もあるから、すべてを否定するわけではないです。あしからず)
 
ふと思い立って、Twitterで「アンゴラ」で検索したところ、
 
「ひどい!」
「人間のすることじゃない!」
「たかがファッションに動物を犠牲にするなんて!」
「もうアンゴラ買わない!」
「この中国人の髪の毛をむしってやりたい!」
 
と、かなり過激なツイートもたくさん見られました。
 
 じっさい僕自身も、その動画を見たときは、
 
「こんなモフモフでかわええウサギに、なんちゅうえげつないことしてさらすんやっ!
アンゴラ商品は、わても一生買わへんでっ!」
 
 と、ふだんはほとんど出ない関西弁でテレビの前で怒りを心の中で表明しました。
 
でも、
 
ちょっと考えてください。
言うまでもないことかもしれませんが、この中国の農場の人たち、こんな非道な行為を自らやりたくて、自ら楽しんでやってるわけがないのです。(中には一人か二人はいるかもしれないけれど、それはもう人間ではなく悪魔、あるいはそういう機械か何かです
 
 なぜ「むしり取る」という酷い方法がとられるのか?その理由はただひとつ。
儲かるからです。
 ハサミやバリカンでカットするよりも、根本から抜いたほうが長く採毛できて、高価で売れます。
 さらに、素手で行うことで作業が早く、効率化され(身近にも道具を使うより手でやったほうが楽な作業ってありますね)ハサミやバリカンといった道具への投資、メンテナンスする維持費もにできます。
 
 要するに、資本主義経済の常套手段であるローリスクハイリターンが行き過ぎた結果として、
「生きたウサギの毛を素手でむしる」という残虐非道な行為が生まれているのです。
 
 それを、数十秒の動画を見て「やっぱ中国怖っ アンゴラもう絶対買わないっ ウサギかわいそうっ」
となるのは、あまりに短絡的で思考停止なように思います。
 
 また、この方法で儲かるのは、実際に作業する従業員ではありません。
その上にいる工場の経営者、ブランドのトップ陣、その会社の株主たちです。
   資本主義社会では、経営者の命令は絶対です。労働者はその命令を遂行するからこそ対価としての給与を得られるのです。
 実際に作業する人の中には、ひどいことだと誰よりも強くわかっていながら、他に仕事がなくて、この仕事をやらなければ生きていけないし、家族も食わせられないという人がきっといると思うのです。(現場には極限状態で働いている人たちがいることを想像できていない点で、少し前に話題になったファストフードの件と非常によく似ています)
 
 番組のラストは、動物愛護団体のメッセージとともに、このようにくくっていました。
 
「みなさん、洋服を買うときは必ずタグを見てください。そして、そこに『アンゴラ』と表示されていれば即座に買うのをやめてください。一人一人のそういう決断が集まることで一匹でも苦しむアンゴラウサギを減らすことができます」
 
 この言葉どおりに、アンゴラ商品を誰もが買わなくなれば「毛をむしり取られるアンゴラウサギ」は減ると思います。それはそれで解決法のひとつだと思いますし、こんな痛い目に合うウサギは、一刻も早くいなくなってほしいと心から思います。僕自身、表示タグは今までより気にするだろうし、アンゴラウサギの毛を使用した商品には極力手を出さないつもりです。
 
 しかし、これは根本の解決にはならないと思います。
 速効性のある薬で病気の症状は一時的に消えたとしても、転移したり潜伏したりして、いつかまた別の場所で、アンゴラウサギとは別の動物で、同じような悲劇が起こるように僕は思います。
 
さいごに、

 

 
この方のツイートのご指摘にもあるように、こういうところに番組制作側の想像力の欠如があらわれていて、とても辛いのです。