わかったつもりでいたけれどほんとうはわからなかったこと。

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うしおととら「秋葉流」に見る、何でもそつなくこなせるがゆえの不幸について。

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うしおととらのTVアニメが放映中である。

作画も原作寄りだし、スタッフやキャスト陣の熱も伝わってきて楽しく見ている(白面の者の復活シーンは鳥肌もんだった)
この「うしおととら」に秋葉 流(あきば ながれ)というキャラクターが出てくる。先週のアニメ放送回がこの秋葉流メインの話で、見ていたらいろいろと共感することが多かったので、ちょっとそれについて書こうと思う。
 
この秋葉流がどんな人物かというと、彼は光覇明宗(こうはめいしゅう)という白面の者(ラスボス)や、妖怪たちに立ち向かう坊さん集団のエリートで、ひょうひょうとしてるんだけど、めちゃくちゃ強くて、いざという時うしおととらを助けてくれる、頼れるお兄さん的存在なのである。
 けれど、白面の者との最終決戦も間近ってタイミングで、この流は白面の者の方に寝返ってしまう。裏切りの理由は、本人いわく「とらと闘いたいから」ということ。(とらってのは「うしおととら」の”とら”のほう。雷を使うめちゃくちゃ強い妖怪)
 
 
流は子どもの頃から何でも人よりできる神童タイプ(光覇明宗のチョーむずかしい術も簡単にモノにしたりする)で、その出すぎる杭のような才能ゆえに、周囲からの妬みや嫉妬をうけながら人生を送ってきた人間。
 
「努力」なんてねえ。「達成感」なんぞ感じねえ。負けねえ。悔しいこともねえ。嬉しさもねえ。思い切り何かをすることもねえ。なぜなら、オレは何でもできるから。何でもできるからオレはーーー人生ってやつを………楽しんじゃいけねえのさ。
 
このセリフは秋葉流という人間を象徴している。つまり、「自分の能力を持て余した退屈な人生にピリオドを打つため、めちゃくちゃ強い”とら”という妖怪に、おのれの全力をぶつけたい」という至極個人的な欲望を叶えるため、仲間を裏切るのだ(この他にも、うしおにたいする嫉妬など、深い理由も色々ある)
 
全力をぶつけたいなら「白面でいいじゃない」とも思うのだけど、流の心の闇や葛藤をぶつけられるのは白面ではなく、そしてうしおでもなく、とらしかいなかったんだろうと思う。
なんてったってとらは〇〇だから(強度のネタバレになるので伏せます)妬みとか孤独という感情をとても理解している。
 
 
 
この流ほど天才じゃないにしても、何でもそこそこできる「器用ビンボー」という人は少なくないのではないだろうか?
かく言う僕も、かなりの「器用ビンボー」だと自負している。言われたことや教わったことは大体そつなくこなすし、苦手だとしてもそれなりに努力してクリアできる。
でもそのかわり、すぐ飽きる。
ある程度のところまで出来たら、「うん。これはこんなものか」と勝手に自分の尺度で理解したつもりになって、「他に面白そうなものはっと…」と他に行ってしまう。
これはけっこうヤバイ。色んなことに挑戦してるようで、実は同じところをグルグル回ってる。何も進んでいない。何も身につかない。
学ぶ前から自分で先に枠組みを決めてしまうから、やっていて楽しいはずがない。
 
 
それにたいして、たとえ不器用だとしても、一つのことに興味を持って、地道にやれる人は強い。なぜなら自分の成長を、自分で実感しやすいから。
器用ビンボーの人は「できるかできないか」「0か1か」で判断しがちだけど、不器用でも地道にやれる人は「できるまでの過程」も含めてグラデーションの中を楽しめるから、歩みを止めることが少なく、誰よりも遠くへ行けたりする(”ウサギと亀”の亀さんみたいに)
 
 
じゃあ器用ビンボーの人がどうしたら良いかっていうと、とにかく僕が思うのは、
「今、できてると思ってることを一度疑ってみる」「ちょっとこなせたくらいでいい気にならない」ということを、常に強く意識して取り組むことだろうなと思う。
そして、もし今、取り組んでることがあるなら、その分野のエキスパート達がいるグループに飛び込んでみるとか。自分が勝手にこしらえたちゃちな枠組みをぶっ壊してくれる環境に自ら身を置いてみるのが良いのかも。結局、井の中の蛙になってることも多いと思うから。
 
 
とはいえ、流は天才であり、器用ビンボーとは違うので、同列に語るわけではないのだけど、秋葉流という1人のキャラクターの生き方には色々考えさせられるものがある。
 
また、主人公のうしおは不器用でも地道に進んでいくタイプで、流と正反対。しかも、流はその才能ゆえに孤独を背負ったけど、うしおは獣の槍の運命を背負いながらも、出会う人とのつながりをどんどん作っていく。それがきっと、嫉妬を超えて、流には眩しすぎたんだろうなと思う。
 
 
ほんと、うしおととらは青春時代のバイブル。自分の愚かさに気づかせてくれると同時に勇気ももらえる。