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わかったつもりでいたけれどほんとうはわからなかったこと。

読書。独学ヨガ。ミニマリズム。わからないことだらけ。

【本の感想】この世はウソでできている 池田清彦

本の感想

この世はウソでできている (新潮文庫)

少し前に読んだ「他人と深く関わらずに生きるには」がとても面白く、ホンマでっかTVで好き放題言ってさんまさん笑かすだけのことはある人だなーと、一気にファンになり、こちらも読みました。

いつもなら読んだ本の実物写真を載せるんだけど、電車で寝ぼけて(だいたい電車で僕は寝ぼけている)せっかく購入した文庫本を席に置き去りにしてしまったため(泣)今回はAmazonさんから画像をお借りしました。 

 

 人類みんなマイノリティだと思えれば。

マイノリティを徹底的にバッシングすることに熱心な人は、自分がマイノリティになったときには逆に徹底的にやられてしまうのだということに思いが至らないのである。(18ページ)

マイノリティな要素なんてのは、誰もが多かれ少なかれ持ってるものなんだよなー。それを自覚するかしないかの違いがまずあって、自覚した人はそれを外部に表明するのか、一切を内に秘めたままにするのか、家族や身近な人にだけはカミングアウトするのか、人それぞれ向き合い方の程度のちがいがグラデーションとして存在するだけ。

だからマイノリティを叩く人たちというのは、

自分の中のマイノリティな部分と向き合うことをやめて、臭いものと決めつけて蓋しちゃった人たちなのかもしれない。

世間や道徳や倫理で形作られたマジョリティ層の中にいれば安心だから。そして、その安心の土台を強固にするためにマイノリティをバッシングする。それはたぶん、多くの場合においてマイノリティの人たちの価値観というのは、マジョリティの人たちの価値観を揺るがすからじゃないだろうか(自分のなかの暗部を見せつけられてると心のどこかで感じるのかもしれない)

もちろんマイノリティを表明する自由と同じように、蓋をしてマジョリティの安心の海に身を委ねる自由が人間にはある(だからといってマイノリティを叩く自由はないわけで)

 

 

リスクを取らないことがリスク。

あくまで標準的な治療を施し、その結果として患者が死んでしまっても「やるべきことをやった私たちに落ち度はまったくありません」と言って済ませればいい。(34ページ)

接客業やってるからかすごーくよくわかる。顧客の問い合わせにたいして、できる限り一般論、とにかく一般論、何が何でも一般論!で伝えることが染み付いてくる。「ああともとれるしこうともとれる」というひじょーに抽象的なコミュニケーション。ほんとはイエスorノー、白黒はっきり伝えたほうが話が早くても、何かあったときのことを考えてしまう。「あなたはこう言ったじゃない!」とならないための予防線。「この商品を買うことで私は必ず幸せを感じられる」と信じきっている顧客に対してはとくに。10000円支払ったからといって、かならずしも10000円ぶんの価値を享受できるわけじゃない。

どこかからコピペした一般論を言わなくて済むようになるには、どんな仕事でも、そのジャンルの知識と経験をじっくり年月をかけて積み上げたうえでの顧客とのコミュニケーションが必要なんだろうと思う(ベタだけど)

 

 引用を盾にした暴力。

コントロール欲の強い人間は、自分の価値観に合わない人間が気に入らない。ちょっと変わったことをやっている人をコントロールしようとする。しかし強制的にはできないので、「そんな名前ではいじめられるから」などといった、何かもっともらしい理由をつけるのだ。(53ページ)

 以前、国会で安倍首相がキラキラネームを批判したことについての話。「おれはキラキラネームが生理的にキライだ!」と正直に言ってくれたほうがたしかにスッキリする。

「君の社内の評判あまり良くないよ」とか「〇〇さんが君のことあんまり好きじゃないみたいなんだよね」とか言うのも同じ。ヨソから持ってきた出来合いの意見や理論で人を攻撃するのはほんとーに邪悪である。「社会人なんだから」「新入社員なんだから」「長男なんだから」そこら中に転がってる。というか、こうやって本の引用をして自分の言いたいことをつらつら書いてる僕もたいしてかわらんという事実。

 読む本を選び過ぎると、気づかぬうちに「自分の考えを正当化してくれる本」ばかり読む傾向におちいるので、たまにはぜんぜんカンケーない興味ない本を手に取って読んだほうがいいかもしれない(たとえば壇蜜さんとか叶姉妹のエッセイとか…意外とおもしろいと思う)

 

池田清彦さんの考え方はときに「極論すぎる」と思われるようなことも多いのだけど、「100%の理想をまず掲げたうえで、現実との溝を埋めていく工夫ができることこそ人間のすばらしいところ 」というようなことも他の著書で言っておられた。

ホンマでっかTVではニコニコしながら虫の話してるおじいさんなんだけど、著書はほんと熱かった。他のも読もう。