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わかったつもりでいたけれどほんとうはわからなかったこと。

読書。独学ヨガ。ミニマリズム。わからないことだらけ。

本を読む理由がわからなくなった人におすすめの本「読書力」齋藤孝

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読書は好きな僕ですが、

「どれだけ本を読んで感想をあーだこーだとブログに書いたところで、現実の行動に活かさないとイミないんだよな……きっと外に出て買い物したり色んな遊びを経験したり多くの人に出会うほうが価値があるんだ…書を捨てよ、町に出ようだ。読書なんて所詮友だちのいないインドア野郎がやることなんだ…」

なんて空虚な気持ちになることがたまにある(暗すぎ)

そんな弱った性根に「本を読むという行為そのものに意味があるのだよ」と強く励ましてもらえた一冊。

著者の齋藤孝さんは「声に出して読みたい日本語」で有名だと思うけれど、この方は「雑談力」や「散歩術」などというように『ぼんやりして数値化できないステータスを説得力ある基準で語る』のがとてもお上手だと思う。この「読書力」も、「本を読む力」という一見すると曖昧な概念について、例を挙げながらプレゼンしてくれる。

 

私の基準としては、本を読んだというのは、まず「要約が言える」ということだ。(18ページ「読書力とは何か」より)

 いわゆる「評論系」は要約ができてなんぼかもしれない。けれど小説はネタバレになってしまうので、まるで映画の予告編のように人に話せたら良いと思う。読書は会話力も上がるんだな。

いっぱい本を読んで、人にたいして「その人に合わせた本選び」みたいなのができたらすごーくステキだ。ただし「本をプレゼントする」ってとてもレベルの高いコミュニケーションだから下手すると押し付けになってしまう。相手のことを良く知って、なおかつ最近の心境や近況も考慮して選ばなきゃいけない。

 

唯一絶対の価値を持つ本があれば、場合によってはその本一冊を読めばよいことになる。しかし、そういったthe Bookと言われる特別な本がないとするならば、できるだけ多くの本、つまりBooksから、価値観や倫理観を吸収する必要がある。(46ページ「the bookがないからbooksが必要だった」より)

 ネットでも多様な価値観を知ることはできる。でも、なんと言っても本を読むのはすごく能動的な行為なのである。TVのように「ここは面白いとこだよ?」といちいち表示される字幕スーパーや恩着せがましい観客の笑い声SEもない。「この先が気になるでしょ?」というお膳立てがましいタイミングで入るCMもない。自分で選んだ本のページを自らの指でめくる。速読しようが遅読しようが流し読みしようが熟読しようが、その人の自由。そうやって出会った価値観はやっぱり血肉になると思う。

 

基本的な本を読んでいないことは恥ずかしいという意識が学生同士のテンションを高くしていた。現在の日本では、何かを知らないということは、恥にはならなくなってきている。本当は恥と感じて勉強をする方がお互いに伸びるのだが、「知らなくたって別にいいじゃない」という安易な方向に皆が向かうことで、総合的なテンションが落ちている。(54ページ「ビルドゥング 自己形成としての教養」より)

 「意識高い系」って、かなり罪深いコトバだなーと思う。TVでは「おバカタレント」がチヤホヤされて「みんなでワイワイ現状維持しよーよ」という雰囲気だらけ。シアワセならいーじゃんと言ってしまえばそれまでだけど、社会の上層の権力者からすると、庶民が「おバカな」ほうが搾取しやすいんだと思う。だから安易な娯楽を溢れさせて、エンタメやブランドやオシャレなお店知ってる人の方がモテたり一目置かれたりするように、マスコミやらメディアが流行作りをしてるんじゃないかとさえ思ってしまう。

今話題の(と、言えるほど話題になってないことが逆にゾッする)共謀罪だって、「共謀罪について知らないのダセ〜」という雰囲気がほんの少しでもあれば、いかにヤバイ法律か明るみに出ると思うんだけどな。

 

本を読むことで、この暗黙知や身体知の世界が、はっきりと浮かび上がってくる。自分では言葉にして表現しにくかった事柄が、優れた著者の言葉によってはっきりと言語化される。(85ページ「経験を確認する」より)

本を読んでると「これは自分がずっと考えていたことだ!!」 ということはよくあって、そんな瞬間は自分の悩みや苦しみを誰かに認められたような気持ちになる。けれど、あまりに消耗している時、すがりつくように取り込もうとすると、たとえそれが邪悪な物語だとしても内面化してしまうこともある(オウム真理教とか、奇異な殺人事件を模倣する人間みたく)だからこそ変に偏らず、幅広い著者を読んだ方が良いんだろうなあ。

 

とにかく「もっと本読みたい」と素直に思わせてくれる一冊でした。