無職1日目。人々の生活の根幹。消費活動のような労働。

有給消化期間が終わり、昨日から本当の無職生活が始まった。妻も休みだったため、朝からホットケーキを焼いて2人で食べ、家の掃除やら洗濯やらを終わらせてから、天気も良いのでどこか都内の適当なエリアを散歩しようということになり、千駄ヶ谷の方に行くことにした。

新宿まで出て、南口からサザンテラス口を歩いた。横を見上げると、とても大きく重厚なビルがそびえ立っていて、入り口には「JR東日本 本社ビル」と書いてあった。妻が「エリートたちだね…」と小さく言った。僕はJR東日本の社長という立場にいる人には一体この世界がどんな風に見えているのだろう、などと思った。「これが無くなったら人々の生活の根幹が崩れる」ものを扱う企業のトップ、その人の心にあるのは責任感だろうか、それとも優越感だろうかなどと思った(多分どっちもある)

すぐ近くに「シェイクシャック」というニューヨークから上陸したというハンバーガー屋があり、それを見た妻が「これはね、美味しい」と言うので食べることにした。肉がジューシーで、ベーコンがカリカリにスモークされていて大変に美味しかった。妻はハンバーガーを頬張りながらウンウンと頷いていた。昼食を終えるとサザンテラス口を抜けて、代々木→北参道千駄ヶ谷と歩いた(ここ数日は家にばかりいたのですぐ息が切れた)原宿の裏を通り→表参道→南青山と歩いた。

表参道を歩いている時、後ろにいた女性2人の会話で、

「知り合いがあの店で働いてるよ(オシャレな洋服屋を指差し)」

「へえ、でも働いてるだけでしょー」

と聞こえてきた。身も蓋もないなと思ったと同時に、確かに「オシャレな街や店で働いている自分」というステータスが欲しくて就職する人もいるだろうと思った。面接や試験もあるから簡単なことではないけれど、採用さえされれば、パッと、その日から「オシャレな街や店で働いている自分」には確実になれる。なんとなく、消費活動みたいだなと思った(ブランド品やマイホームやマイカーを購入したことで、その日から目の前の生活がきらきらと輝き始めるみたいに)

原宿駅から電車に乗って家に帰り、夕飯は作り置きしていたルーロー飯を温めて食べた。玄関を開けた瞬間から猫たちの「ご飯出せ抗議」が始まった。猫たちにとっては僕が無職だろうと、オシャレな店で働いていようと、然るべき時間に然るべき量のキャットフードさえ出してくれれば、どちらでも良さそうだった。